ニコニコ通り

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ノビコの実情 その2

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クロアチア旅行から、ケルンに無事戻ってきました〜(3日前に)。

明々後日から、営業も再開します。

忙しくなる前に、4ヶ月ノビコをやってきた、まとめその2を書いておきたい。

 

ノビコをスタートしてみて、よく思った事の一つに、「この3人で良かった」という事。

ノビコは店主(社長)のいないコレクティブ経営(共同経営)という形をとっていて、その経営者が、私、のび太、Kiseの3人。全ての決定事項に対して、3人で話し合い、同じように責任を持つ、というのが基本的なやり方だ。

なので同じお店で働きながらも、全員が自営業。なんだけど形式的な話をすると、実は私だけ従業員という形をとっている。私がお店の経営者に名を連ねるためには、日本から取り寄せないといけない書類が色々あるらしく、、、面倒なのでちゃんと調べてませんが、形式的なことはこの際目をつぶりました。これが問題になる時がくるとしたら、お店が崩壊するときなのかも・・・。こ、怖い。

でも実際の経営は3人でやっていきましょうってことで、様々な情報、問題、働く時間など、お店に関することは全部共有しながら進めるべきだと思っている。

と言ってもなかなか大変なんだこれが。問題意識がバラバラだと、話し合っても行動につながらないことも多々あるし、3人とも持ってる能力は違うので、仕事のポジション的なことは、まだまだシェア仕切れていない。なので事後報告のこともあれば、完全に任せっきりの案件もある。それぞれの裁量に任せていい部分とそうでない部分の線引きも難しい。

それでもこの3人でバランスが良いなと思うのは、お互い違う分野でお店に貢献できている、という点。私はメニューなどに使うイラストが描けるし、のび太は庭で育てている紫蘇などの特別な野菜作りが出来、Kiseは電気関係全般の管理、調理機器の修理が出来る。それぞれの能力が活きているっていうのは、共同運営をしていく上ですごく大事なモチベーションだと思った。

そしてもう一つ良かったポイントは、3人ともノビコをやる一番の目的が「生活」だったということ。これで生活したい!とみんな思っているので中途半端な関わり方はできない。3人で責任を分け合う事が前提となっている。3月に東京で、ノビコ開店祝いのトークイベントをやった時に、共同運営の色んなケースについて聞いて、これは共同運営を続けていく上でとても大事だと思った。

例えばみんながボランティア同然で関わる共同運営のお店だと、時間のあるときに自由に関わりたい、そして誰も責任を持ちたくない、という逆のことが起きてしまいがちだ。結局誰か一人が多く責任を持つことになったり、力関係が生じてきたりと、なかなか難しい。(ノビコの前身であるCafe Fatchでも同じ問題が起きていた。)

そしてもちろん、3人ともが同じ目的だったとしても、共同運営をうまくやっていくには、たくさんの努力が必要になる。意見がぶつかったら納得がいくまで話さないといけないし、細かいコミュニケーションが必要になってくる。

だから、自分が店主となって力関係をはっきりした方が、やりたい事がやりやすい。って人もいると思うし、そういうお店でもスタッフと良い関係を築き、面白い場所作りを実現している人もたくさんいる。

でも私にとっては、3人でやろう!というアイデアがとても心強かった。もともと私には明確なお店のビジョンなんてなかったし、ただ自力を信じて生きていける場が欲しかっただけなのだ。ずっと自営業に憧れてきたけど、これじゃないとダメ!というものもないし、一人だと結局心細くなって続かないのがオチである。もしかすると、そんな3人が集まって出来たのが、「ノビコ」なのかもしれない。目指したいお店の形も共感できるところが多く、お互いのセンスが結構好き。声を大にして、本当にラッキーだったと言いたい。

 おかげさまで、今は総勢10人と一緒に仕事をしていて、とても和気藹々と楽しいのだけど、自分の思うようにはいかないのが現実だし、コミュニケーションの悩みは尽きません。

 

ということでここからは、私から見たノビコのお悩み、聞いてください。

うどんの麺作りは、私がまず1ヶ月集中的に担当して、気づいたことを踏まえて作り方をまとめ、今は3人+アルバイトの1人、計4人でローテーションしている。麺作りは一番の重労働なので、一人に集中すると大変すぎる。そんな簡単に?麺作りって職人の仕事じゃないの?と思うかもしれない。

でも、もともと全員素人なのだ。インターネット情報を元手に、パスタマシーンを使って作れるよう試行錯誤して、自分の手でやってみて感じたことを頼りにやり方を決めるしかなかった。道具も材料もうどんの認知度も日本とは全然違うのだから、同じもの、同じ方法論を目指してもしょうがない。それでも縁あって、うどんを打ちながらヨーロッパを周っていた森岡さんや、丸亀の純手打ちうどん「よしや」の大将山下さんから、アドバイスを頂く事もでき、重要なポイント、現場に合わせた考え方を学んで、今のスタイルに少し自信を持てるようになった。お客さんも美味しいと言ってくれる。

が、しかーし!みんな素人なんだから、まだまだ改善の余地ありまくりなんだ、という事を忘れないでほしいな、と私は正直、ハラハラしながらみんなを見ている。日によって時間帯によって、麺が切れやすかったり、硬かったり、力がなかったり。気温、塩と水の量、技術。「毎日同じうどんを作ることがいかに難しいか・・・」という映画「UDON」の中のセリフを素人ながらに噛み締めているのです。。

だから今ある問題点も常に共有して、ちゃんと話し合いながら一つ一つレベルアップを目指したい。というのが理想。言葉の壁も遠慮もあってなかなかスムーズにいかないのが現実である。

天ぷらに関しても、同じような心配がいつもあって、誰も天ぷら名人の肩書きは持っていないので、強く指導することに抵抗がある。最初に決めた方法も、よくよく見ると、人それぞれ変わってきていて、出来上がりにも差が。。。天ぷらはとてもシンプルな料理だけど、守るべきポイントをしっかり守らないと油っこくなったり衣が厚くなりすぎたり。これではいかん!と、どんな天ぷらを目指すか、という話し合いをして試作もしてやっと3人の中では方法論を共有することができたけど、他のアルバイトスタッフも、となると色々気を使ってしまって口うるさく言いにくい。

もっと細かく言えば、野菜の切り方一つとってもそう。一度指導してもだんだんと人によって変化が。。。料理のプロではない私たちが、意識を共有するのはこんなにも難しいのかと悩む毎日なんである。

何故こんなにも、きっちり指導することに二の足を踏んでいるかと言うと、ヒエラルキーを職場の中で作りたくないから。

そうは言っても、ちゃんと指導する者は必要だし、自分たちの作るものに対して、しっかりプライドを持つ事も大事だ。しかし、上からの押し付けにもしたくないから、何故そうしたいかちゃんと説明して納得してもらう必要がある。うーん、難しい。そんな高度なドイツ語、できるわけねー!と言うのは私個人の問題だけど、3人の中でそれを言う人が固定化してくるのもマズイから、しどろもどろで頑張っている。

実際、もし日本語なら、相手の気持ちも考えて気をつけながら説明したり、後からのフォローもできるのに、と何度思ったことか。

話し合い、お互いに納得し合うことが一番大事なのに、自分の気持ちを思うように表現できないのは、なんとも悔しい。大事なところはのび太が翻訳してくれるから、内容は理解できるけど、やっぱり自分のタイミングで自分の言葉で伝えたい。

早くそうなりたいけど、焦ってもしょうがないので、ほんと出来ることからちょっとづつ・・・です。

 

そしていつも思うのは、人それぞれの考え方の違い、センスをどこまで許容でき、どこからすり合わせるべきなのか。自分の中の境界もあるし、お店としての境界もあると思う。それがよくわからない時もあるし、怖さもある。

もっと、お互いに溜め込まないよう正直に話して、譲ったり譲られたり歩み寄ったりできたらいいんだろうと思う。

 

そんな人間関係を作るにはまず、信頼とリスペクト、を持つことですね。

 

簡単なようで難しい。難しいようで時々簡単。

ほんと、ややこしいよね人間関係。

と、話がまた大きくなってきたのでもうやめます。

 

 

明日から仕込みでまた忙しくなります。

そして、明々後日から第2のスタート!

の気持ちで頑張っていこうと思います。

 

読んでくれて、ありがとうございました!