ニコニコ通り

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毎日散歩ができる日々の記録 その1

コロナウィルスの影響で、飲食店営業停止が決まってから10日が過ぎました。

この間のドイツのコロナウィルスへの対策や、ノビコの状況についてアップデートしておきます。

 

ドイツは各州でコロナウィルスへの対策に差はあるものの、今週から出たさらなる外出制限については、ドイツ全土に適用されています。

この外出制限というのは、3人以上の人の集まり、外出を禁止する、というもの。

ただし、同じ家で暮らす家族や同居人との行動は例外だし、外で身体を動かすことや、友達と2人で散歩に行くことなどは、健康維持のため推奨されています。また、人との距離を最低でも1,5メートルは取ることが求められているので、床屋やネイルサロンなどの営業も停止を余儀なくされました。

飲食店の営業停止は、最初はケルンやベルリンなど一部の都市のみだったけど、今やドイツ全土で禁止されました。ただし、店内に入る必要のない持ち帰りやデリバリーは今でも18時まで許可されています。

今営業しているのは、スーパーやドラッグストア、ホームセンターなど、かなり限られていて、混み合うことを避けるため、入場制限をかけるお店もあるようです。

 

外出制限は予想していたものの、イタリアやスペインなどの外出制限よりも少し緩い感じで、正直ホッとしました。州によってはもっと厳しくしたいという意見もあったらしく、そっちに流れなくて本当に良かった。

今は、国単位でどういう対策が取られるかを、みんなが気にしているし、厳しい政策をとる国が強い国の証とばかりに、エスカレートしていく不安がある。ヨーロッパの各国の動きを見ても、排他的な国はもっと排他的になるし、どさくさに紛れて、非常事態宣言って名目で人々の自由をどんどん奪っていく。

状況からして厳しい政策をとらざるを得ない国ももちろんあるけれど、このコロナ危機に便乗してやってくる様々な政治政略が、権力とナショナリズムをより強くするものにならないよう、注視しなければ。みんなで協力すべきなのはわかるけど、「国が一丸となって〜〜」みたいな言葉は聞きたくない。

 

 

 

さて、ノビコの存続をかけて、資金集めを始めて10日。商品券の売り上げとカンパの合計額はもうすぐ10,000€に届きます。本当に本当に、ありがたいことです!驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。

 

そして、行政からの補償についても、段々情報が集まってきました。

コロナウィルス対策の影響で休業している会社に対し、従業員の給与60%の補償が決まりました。ただこれもスタッフ全員に対してではなく、福利厚生がつかない低所得(450€まで)で働く人にはこの補償がつきません。まだ条件についてハッキリしない部分もあるし、いつ貰えるかも不明だけど、かなり有効な政策の一つです。

さらに小規模事業(従業員10人以下)に対して、最大15,000€の支給がありそうです。ノビコも申請できそうだけど、実際の額についてはわかっていません。

税金の支払いも半年ほど延滞できる措置が取られ、家賃を滞納しても大家は契約を切ることができないよう、法整備もなされました。

他にもいくつか助けになりそうな対策について、検討を続けていますが、ひとまず、多くの人のサポートと行政からの補償のおかげで、なんとか生き残れそうな予感がしています。ただ問題はこの状況がどれくらい続くか、です。

ノビコのある町の、付き合いのある映画館、カフェ、バーなどとも情報交換を続けていて、生き残りの資金について、もうちょっと範囲を広げて連帯し、シェアしていく方法を考えています。

 

大口のカンパをしてくれた人の中には、お金に不自由していない高齢者世代もいて、「コロナ危機が終わった時に、マクドナルドしか残らないようではつまらないから」なんてメッセージをくれた人もいました。普段お店によく来てくれる人以外からも、支援していただいたのは、人から人へと繋げてくれた証拠であり、そこにある信頼を絶対に裏切らないよう、頑張ろう!と改めて思いました。

 

一方で、コロナ危機の影響で、社会でも暗黒面がより浮き彫りになるというか、人々のいがみ合いや行動への批判を目にすることが多くなってきました。ノビコに対しても、資金集めを始めてすぐ、お店の窓に嫌がらせの言葉が書かれたり、持ち帰りの営業をしない事への疑問が投げかけられたりしています。

嫌がらせの言葉は、「Sozial Rasisten!」というもので直訳すると「社会的差別者」。階級差別(Klassismus)と似たような意味らしいけど、書かれた真意はよくわからず。ノビコはお金儲けに成功しているとでも思っているのだろうか。お客さんが沢山入っていても、手間やコストをかけてる分、金持ちになるチャンスはゼロなんですけど。むしろ階級でいうと独立系飲食店なんて底辺に近いんですけど。

持ち帰りの営業に踏み切れないのは、この状況でスタッフやお客さんの感染の危険を上げる事や、仕入れや準備の手間やコストをかけた分の収入が本当に見込めるか疑問だからです。

簡単な事ではないし、私たちも考えてないわけではない。状況に応じて何度でも議論する必要があります。

コロナ危機で社会的経済的影響を受けていない人はいないので、みんな色んな感情を持つし、ぶつけて来るんだと思います。差別やヘイトで人を傷つけることは完全に間違っているとしても、お互いを比べたり、どれだけ頑張ってるか合戦になっても仕方がなく、まずはそれぞれの立場と決断を尊重する事を忘れてはいけないんじゃないかな。そんでそれぞれが、遠慮することなく助けを求めれば良いと思う。

ちなみに政府には、絶対に1ミリも遠慮してはいけない。彼らは私たちのお金を預かっているだけなので、ちゃんと私たちのために使うよう要求しよう。

  

今まで何か大きな災害が起きた時は、人は寄り添うことでなんとかやって来たし、集まることでエネルギーを得て来たと思う。でも今回は違う。人との物理的距離をとる事が、一番の対策になる中で、どう助け合えるのか。面白いのは、世界中の人が同じ問題を共有していることだと思う。遠くに住んでる友達も同じことで悩んでいて、物理的には遠いんだけど精神的には近かったりする。近況を報告し合うだけでも、今後どう動けばいいかの参考になるし、自宅隔離になった時に備えて、おうちでの楽しい時間の過ごし方も学べるかも。。。

 

この10日間、天気もほぼ良かったので、散歩がとても気持ちよかった。ライン川沿いをサイクリングしたり。人も少ないので超快適。今までやりたくても手がつけられなかった仕事をするチャンスなんだけど、とりあえず誰からも求められてない、店に飾る写真の枠を段ボールで手作りしてみたり、ボロボロになったエプロンを修理するのを楽しみにしています。どうでもいい事をやるまたとないチャンス!やりたい事がたくさんあるけど、あくせく動きたくないので、無理はしない。

毎日美味しいご飯を食べてるし、免疫力高めるためにも入浴は欠かせない。

相方のび太さんは、もうすぐ暖かくなるので、畑の準備に余念がありません。小動物の侵入を防ぐ、手作りの柵もめちゃくちゃ手間がかかるのに、あっという間に完成!

 

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どうなるかわからない不安と隣り合わせだけど、野菜を育ててると、かなり心強いものだ。のび太さんありがとう。私は草むしりを頑張ります。