「広い空が見たい」
同居人サチコのそんな一言から、埼玉までサイクリングをする事になった月曜日。
普通の勤め人なら、一番憂鬱なブルーマンデーである。
お金を使いたくないので、最近の移動はもっぱら自転車の私たち。埼玉へのサイクリングは、自分の足を使ってどこまで行けるか?という実践でもある。
目標を荒川沿いの秋ヶ瀬公園に設定し、おにぎり、唐揚げ、イチゴをお弁当に詰めて、カセットコンロを自転車の後ろに積み、いざ出発!
気候は、寒くも暑くもなく、最高に恵まれた天気である。
行きは少し寄り道して、まずは石神井公園へ。
整いすぎてない、とても良い公園だった。東京は都会の中にこういう大きな公園が沢山あって、地方都市より意外と自然を身近に感じるように思う。
その後、牧野富太郎記念庭園へ。
牧野富太郎は日本の植物学の父と言われる人物で、生涯で発見・命名した植物は1500種以上、収集した標本は40万点にも及ぶという。植物観察の為のスケッチを見るだけでも、植物が好きで好きで仕方ないという、ひたむきさが伝わってくる。
高野文子の漫画「ドミトリーともきんす」に出てくる人物で、牧野の資料展示と共に、その原画展もあり、これが、常に無料で観れるという、かなりお得な寄り道だった。原画展、良かったなぁ。美しい線を引くことへのこだわり、シンプルな画材、高野さんが寄せた言葉、染み入りました。
そして、和光市を経由し、ひたすら自転車をこぎ荒川を目指す!途中恐ろしい坂の連続にヒーヒー言いながら、人の少ない工場地帯に迷いこんで少し不安になりながら進み、広々とした荒川の河川敷が見えた時の爽快感たるや!
橋を越え、ついに目的地の秋ヶ瀬公園に到着。ここまで、約3時間半。
月曜昼間、ぽつりぽつりと見える人達の、楽しみ方は完璧だった。光を浴びながらヨガ、テントを張ってバーベキュー、まったり読書。野鳥観察。なんか太鼓の音が聞こえるな〜と思ったら、ドラムの練習してる人もいた。
いざ、私たちもお弁当を広げ、カセットコンロでインスタントラーメン作って、お昼ごはん。これがもう最高に美味い!
公園の光の中を、ヤナギの綿毛がふわふわ流れていく様が、とても美しく。
サチコの吹くオカリナの音で癒される。
食後のコーヒーもいただき、公園内の散策へ。といっても、広すぎて全部は回れなかった。
憂っそうとした薮の中、広々とした河川敷、橋の上から見た夕焼け、この日見た埼玉の景色は、岡崎京子の「リバーズエッジ」を思わせた。
日常を持て余し、迷い込む世界。楽しい反面、どこかに悲劇が潜んでいるような気がして、時折そわそわした。
友達と一緒でないと、私は一人では来れないな。
そんなこんなで、約2時間かけて帰り、1円も使わずサイクリングを終え、最後はインド料理屋でビール!
本当に良い一日だった。
以下、サチコがまとめてくれた、サイクリングの行程。
そして翌日、疲れた身体を癒すため、綱島温泉へ行ってきた。
相変わらずの楽園っぷりで最高でした。
これも含め、「平昼の正しい過ごし方」である。