ニコニコ通り

漫画、木版画、イラストなどなど、製作中。

2021年1月号

いやー、2021年もコロナコロナですね。

もう聞くのもウンザリ!って人もいるんじゃないですか。

感染予防はするけども、話題にするのはもう飽きた、とか。

 

でもやっぱり、このパンデミックが世界に与えた影響は無視できるものではなく、

人々を極端な方向へ狂わせることもあれば、日常のちょっとした場面で変化を思い知ることもある。。。

 

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家にいる時くらい忘れたいのに!ウィルスの力って怖いですね〜。

まあ、ドラマ鑑賞、ちゃんと楽しんでますけどね。一瞬、頭をよぎるというかね。

 

ところで私は普段、Netflixでドラマや映画を漁ってるんだけども、2020年は韓国ドラマに結構ハマって、「愛の不時着」「サイコだけど大丈夫」「イテウォンクラス」「椿の花咲く頃」「最高の離婚(韓国版)」などなど、楽しませてもらいました。あと、「進撃の巨人」に激ハマりして、アニメだけでなく原作漫画もファイナルシーズン前のところまで読破。今は週1回放送のファイナルシーズンを楽しみに生きている次第です。同僚にも好きな人がいて、毎週語り合ってしまいます。ドイツ語版の漫画も買ったろうかな。。。

 

でも今書いた作品たちは、日本でも多分人気で、私がオススメするまでもないと思うので、ここでは私が個人的に超オススメしたいNetflixで観れる作品について、3つ紹介させてもらいます。わーい!実はこれ、ずっとやりたかったのよね。

 

一つ目はオーストラリアのドラマ「Please like me」

もう何度も観たんだけど、登場人物全てが、ドラマに流れる空気が愛おしくて、観たらなんか少し気持ちが楽になるクスリみたいなドラマかな。私にとって。

ストーリーは、ある男女のカップルがカフェで豪華なパフェを食べながら別れ話をするところから始まる。主人公であるジョシュは、彼女から「あなたはゲイよ」と告げられ振られたことで、自分のセクシャリティを認め、ゲイとしての新たな恋愛を模索し始める。その一方で、情緒不安定なジョシュの母親が自殺未遂を起こし、同居することになり、、、と、ジョシュを取り巻く生活、人間関係がリアルに、かつコミカルに描かれていく。

私が好きなのは、なんといっても登場人物のキャラクター。完璧な良い人も悪い人も存在しなくて、みんなそれぞれ問題アリなんだけど、可愛いところ憎めないところもあって。かつ、私たちも知っている問題について、家族関係や精神疾患、友情、恋愛問題についてのリアクションが、ときに共感を呼ぶし、ときに心温まる。シリアスになりすぎない程度の感情の緩急があるのもいい。しかもこれ、脚本したのがジョシュ・トーマスというコメディアンで、本人が実名で主人公を演じている。内容も彼の半自伝的なものらしい。そりゃあリアルだわ。いやー、もうすっかりハマってしまいました。超・オススメです!

 

二つ目はドラマではないんだけど、「Please like me」に出てくる俳優さんでハンナ・ギャズビーという、これまたコメディアンの女性がいて(かつ作中でも本名で出演)、彼女のスタンダップコメディーショーを、本当に超・超・オススメしたい!

Netflixで観れるのは二つあって、一つは「Nanette(ナネット)」というタイトル。

これも3回くらい観てるけど、毎回号泣してしまいます。ええ、コメディーショーなのに。確かに普通のスタンダップコメディーとは呼べない、特別な意味のあるショーではあると思う。

ハンナ・ギャズビーは、コメディを始めた頃からずっとレズビアンである自身のことをネタにしてきた。そしてそれは、自身が受けた理不尽な差別を元にしているため、自虐的なネタでもあった。お笑いのスタイルとしてよくある自虐ネタだけど、このショーの中ではその弊害について深く考えさせられる。彼女は、自虐ネタを続けることで自身にトラウマを植え付け続けている悪循環に気づき、ショーの中で「私はコメディアンをやめるべきだ」と宣言する。

男性優位社会への批判、同性愛者の生きづらさを自身の経験を元に面白可笑しく話す手腕は見事なんだけど、そこには笑いに変えられない本当のストーリーもあるのだ。それをあえてコメディショーと銘打って、さらけ出し、なぜそうであるべきなのかを語る彼女の言葉に、私は自分の経験を思い出さずにはいられなかったし、心の底から勇気づけられた。辛い経験を聞くことになっても、ただ同情されるだけでは何も変わらない。自分のこととして感じ、考察し、つながって欲しいのだ。「Nanette」を観て、Me too運動を始め、女性たちが自分のストーリーを語り始めた事の意義が自分の中ではっきりした気がした。

そしてそんなセンセーショナルな「Nanette」の後のショーとして観れるのが、「Douglas(ダグラスに捧ぐ)」。アメリカでの公演を収録したもので、こちらは本当に見事なスタンダップコメディー!という感じで、構成も含め、本当によくできていて面白いです。「Nanette」後、のショーとしてふさわしい程に、何か吹っ切れたような気持ちよさも感じた。あと彼女は美術史の学位を取得していて、その知識を元にしたレクチャーが最高に笑えます。相変わらずユーモアたっぷりに、男性優位社会を切りまくってて、痛快そのもの!

ハンナ・ギャズビー、本当に多くの人に観てほしい、知ってほしいコメディアンです。

スタンダップコメディーはNetflixで結構観れるけど、アメリカのコメディアンで、アジア系移民のロニー・チェン、アフリカ系移民のトレバー・ノアも面白かった!

 

そして3つ目。今まさに私が2周目を楽しんでいるデンマークのドラマ「Borgen(コペンハーゲン、首相の決断)」!

このドラマは、デンマークの政治の世界を描いたもので、次から次へとリアルな政治問題が出てくるので、とにかく臨場感を持って楽しめる。がっつり政治的でありながらも、人間ドラマでもあるから、政治に疎くても気軽にハマれると思う。

ストーリーとしては、まず第1話でデンマーク初の女性の首相が誕生し、以降は彼女ビアギッテ・ニュボーの率いる政権が様々な問題にぶち当たっていく、というもの。最初色んな政党が出てきて混乱するのでちょっと説明すると、ビアギッテは穏健党(中道派)の党首であり、選挙で大躍進はするもののそんなに大きな政党ではない。という事で、労働党緑の党といった左派政党と連立政権を組むことになる。それまでは保守派の自由党が政権を握っていた為、様々な面で改革を打ち出すのだが、、、もちろんスムーズにいくはずもなく。互いを陥れたり、裏切ったりの連続でとてもハラハラさせてくれる。そこにメディアを使った戦略も絡み、スキャンダルを政治に利用したり、逆に潰されたりーので、もうドロドロ。そこに報道の自由を胸に政治を鋭く分析、追求するキャスターもいて、様々な立場の人間模様がリアルに描かれている。ビアギッテはめちゃくちゃカッコいい政治家だけど、政治の世界の重圧にやられてしまう人間らしい弱さも描かれていて、そういうところがまたいい。そしてストーリーに出てくる社会問題はデンマーク特有のものもあれば(例えばデンマーク自治領のグリーンランドとの関係とか)、日本にも共通することもあり、国際的な問題もあったりして、観ている方に議論の種をたくさん撒いてくれる。たまに現実にはない国が登場したりもするけど、どれも思い当たる問題ばかり。

日本はほとんどずっと自民党政権で、最近は腐った政治ニュースしか耳に入ってこないし、民主的に誠実に、明るい未来を描こうとするビアギッテ政権を見ていると、うらやましくてしょうがなくなる。もちろんドラマはフィクションだけど、デンマークのリアルな政治は日本よりずっと進歩的でリベラルだと感じる。今の首相も41歳の女性だし。ちなみにこのドラマ、2012年の作品ですからね。日本人からすると、ずいぶん進歩的な議論が展開されていると思うけど、もう過去の話っていう。。。

より良い社会を作っていくってことを、夢物語にしないために、このドラマから学べることは沢山あるなと感じます。超・超・超オススメ!

 

特にオススメなものとして3つ紹介したけど、他にも面白いドラマ、沢山観たなぁ。

デンマークのドラマでいうと、最近観た「ラブ&アナーキー」も良かったし、イギリスのティーンズ向けドラマ「セックスエデュケーション」も面白いよ。

なんか最近の作品は性の多様性が、結構当たり前のように存在していていいなぁと思う。私たち世代は、当事者の苦悩にフォーカスして描いていた気がするけど、若い世代にとっては、別にそういうもんだし色んな人がいていいじゃん、みたいな軽やかさがある。

国によって地域によってもちろん差があるだろうし、苦悩がなくなったわけではないけど、社会の変化が感じ取れて面白い。これもまた、変化を望むものたちの闘いがあったからこそ。

 

普段、語れる人がそんなにいないので、熱く紹介しちゃいました〜!

みなさん、ぜひ充実したおウチ時間を!