ニコニコ通り

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2021年3月号

毎年3月になると思い出す。2011年3月11日のこと。

それが、もう10年目なのか、と。

色んなことがあった10年だけど、まだ過去の話にはできない。

原発事故のこと。汚染された水、土のこと。故郷を奪われたままの人たちのこと。

何も解決していないし、ずっと地続きの中を生きているんだと、毎年思い知る。

 

正直、事故があったことで、もっと政治に対して声をあげないと!と私は思ったし、同じように行動した人たちと友達になれたし、人生に影響を与えるほどの人との出会いもあった。もしかすると、ドイツへの移住を後押ししたのも、この経験があったからかもしれない。

私個人の10年は、自分なりに悩んで選んできた後悔のない10年だけど、同じ10年がどんな風にフクシマで流れたのか。それを思うと胸が痛い。

そして、この先の10年は?

 

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この汚染された土や水がどこへゆくのか、ちゃんと目を見張ってないといけない。

汚染レベルの低い土(全体の99%)は、全国各地で建設資材として再利用されることになっているが、その基準値は本当に信頼できるものなのか。東京新聞の記事によるとその基準値は、原子炉等規制法に基づく規則で「放射性廃棄物」とされる1キロ当たり100ベクレル以上という基準より80倍も高い、とある。

国のいう「安全」が全く信頼できないことは、もう身をもって経験している。

再利用できない残りの汚染土は、どこかに作られる予定の最終処分場に運ばれるらしいが、候補地探しもまだ手付かずの状態。果たして手を上げる自治体がいるのだろうか。

福島の住民の中には、「どうせここが最終処分地になるんだろう」という諦めの声もあるという。どこに運ばれようと、苦い現実しか見えてこない。

福島第一から出る大量の汚染水は、水で薄めて海に流す予定だという。例によって基準値を下回る汚染水という条件があるけど、全く信頼できない。これってもう日本だけの問題じゃないので、国際問題としてもっと大きく議論されてほしい。

 

放射性廃棄物もそうだけど、こういった問題を知れば知るほど、思う。

原発って、どう転んでも、良い解決策は存在しない無理ゲー。

なんでこんなものを未だにやめる決意もできず、続けることができるんだろう。

 

石炭火力発電も地球温暖化を加速させるから、これからは持続可能な自然エネルギーしかないでしょって思うけど、それじゃあ電気が足りないって言う人もいる。じゃあ、私たちの生活そのものを見直すべきだ。

例えば、24時間営業、年中無休の店が減ったところで、生活にそこまで支障が出るだろうか。日曜はほとんどの店が閉まってるドイツでの生活も、最初は不便さを感じたものの、慣れれば静かな日曜を楽しむくらいの余裕も出てくる。

 

結局、大量生産大量消費を軸に競争しているような社会だから、根本として簡単に変わることではないと思うけど、逆を言えば、人々の価値観が変わらないと、社会の価値観も変わらない。

ただ変化を待ってるだけだと、問題が悪化する一方なので、声をあげていくしかないよねってことだ。

長い道のりの、せめてもの第一歩として、何度でも言うぞ。 

原発はいらない!って。