ニコニコ通り

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2021年4月号

ドイツに移住してカルチャーショックだったこと。

思い返せば色々あったんだけど、もう移住して4年半も経つので、慣れとともに普通になってきた事の方が多い。

例えば、日曜日はほとんどの店舗が休業している事。

電車やバスの改札口がなく、チケットがなくても乗れてしまう事(捕まったら罰金!)。

高速道路で時たま速度制限のないゾーンがある事。

そして、海や湖で普通に裸で泳ぐ人がいる事。

 

FKKと呼ばれる、ヌーディズム(裸体主義)は主に東ドイツの文化らしいけど、どこでもやってオッケーな行為ではなく、ちゃんと場所が決められている。

私が湖や海で見かけたときも、みんながみんな裸ではなく、なりたい人はなるし、そういう人が居ても気にしない、という感じ。

その目的は、衣服からの解放感と自由を謳歌するためなので、他人の裸を性的な目で見たり触ったりはもちろんマナー違反。

私も最初見たときはちょっとドキドキしたけど、リアクションすると失礼かなと思って、平然を保ってました。

 

で、この裸体文化がもっと日常的に影響しているなと思うのが、そう、サウナです。

場所にもよるんだけど、サウナは男女共用、裸で利用するのがごく普通。

最初それ知ったときは、もう絶対無理!!!と思ったんだけど。

 

今では、フツーに裸体晒して楽しんでます。いやー慣れってすごい。

そんなドイツのサウナ事情を紹介したのが、4月の4コマ漫画でやんす。

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もう少し詳しく紹介すると、私がよく利用するケルンのスパでは、地下から湧き出る冷泉を使ったプールとお風呂、そしてサウナがあって、水着で利用するプールお風呂ゾーンと、裸で利用するサウナゾーンに分かれています。そしてどっちも男女共用。

サウナゾーンに行くには別料金がかかるんだけど、わざわざ金払って裸になってでも利用したい!と思っちゃうほど充実してます。

サウナゾーンに行くとまずは水着を脱がないといけない。とはいえ、バスローブの着用はオッケーだし、必需品であるデカタオルを身体に巻いてもいいし、裸のままぷらぷら歩いている人は結構少ない。バスローブがあるとかなりストレスフリーで動けることに気づき、以後金を惜しまずレンタルするようにしています。

そしてサウナ内では完全に裸になり、ほとんどの場合、デカタオルをお尻に敷くことがマナーになっています。汗もかくし下半身の衛生面を考えてのルールだろうと思う。

このサウナの小部屋が屋外にも屋内にも色々種類があって、1〜2時間じゃとても楽しみきれない。各サウナには数時間おきに特別なメニューがあって、例えば、はちみつや死海の塩が配られて身体に塗ったり、スタッフさんがタオルで巧みに扇いでくれたり、草の束みたいなのを室内で振り回してその香りが楽しめたり、本当に盛りだくさんで丸一日コースでも全然退屈しない。仮眠室的な場所もあり、数時間横になって休む事もできれば、お庭を散歩したり、レストランで食事することもできる。ずーっと裸にバスローブの状態で。一日コースは一回だけ利用したことあるけど、時間を気にせずリラックスできて、最の高でしたね、本当に。

残念ながら、ここ1年以上コロナの影響で利用できておらず、サウナがとても恋しい。

落ち着いたら、絶対また一日コースをキメてやる!と心に誓っています。

 

こんな風にリラックスできるのは、もちろん裸のマナーというものが徹底されているからこそ。たとえカップルで利用していようとも、サウナ内でイチャコラするのは、マナー違反。みんながリラックスして利用している雰囲気を壊すことは、許されることではない。

ちなみに女性専用サウナや、女性客だけの日というのもあって、男性の眼が気になるという人でも安心して利用することができる。でも、普通に利用した感想でいうと、意外と自分の裸も他人の裸も気になりません。サウナ内で男性客と至近距離で座ったり、他の女性がいなかったり、少数だったりすると、ちょっと落ち着かないこともあるけど、そういう場面を避ければ、わりかし大丈夫でした。そんな自分の適応力に逆に驚くくらい。でもやっぱり、男友達と一緒に利用するっていうのは全く想像できない。これはまだ、絶対無理!の領域。

 

性的に見る、見られるかどうかの境界線とか、雰囲気って紙一重なんだな〜。

水着ゾーンに行くと、カップルが遠慮なくイチャコラキャッキャッしていて、サウナゾーンより断然エロい。水着という最後の砦があるとみんなタガが外れちゃう、みたいことなんだろうか。

もし裸なら生々しくて見てられないだろうに、局部だけ隠せば大丈夫なのも面白い。

 

日本社会では、男の世界と女の世界が色んな場面で隔絶されてるように思うし、お互いを別の生き物のように見てるような節もある。ドイツの社会ではそういう隔絶がもっと少ないような気がしていて、このサウナの件もそんな社会の現れかな、と思ったり。

どっちが心地よいかは人によって違うだろうけど、ドイツで生活する中で、男か女かのフィルターなく関係を築くこと、理解することが前よりやりやすくなったように思う。

 

よく海外で暮らした後に母国に帰ったら、逆カルチャーショックを受ける、と言うけど、日本の社会に溢れる、性別をやたら意識したメディア広告(例えば◯ガール、◯メン、◯◯系女子(男子)みたいなカテゴリー化とか)、服装、コミュニケーションは、その一つになるかもしれないな。