ニコニコ通り

漫画、木版画、イラストなどなど、製作中。

2021年12月号

コロナ禍で大変だろうが、店が鬼忙しかろうが、ドイツでは休暇、絶対とる。

ここ2年のコロナ禍の中でも休暇を諦める気配はなく、ワクチンを前倒しで接種してまで休暇に繰り出す人が続出し、流石に批判の声も聞こえてきていたほど。

ノビコのスタッフも、自転車で国内旅行を楽しむ人もいれば、キャンピングカーで近隣の国まで遠出する人、家族に会いに地元に帰る人もいた。ちなみにこれ、日帰りとか2泊3日とかのプチ旅行でなくて、基本1週間単位で平均2〜3週間取得するちゃんとした休暇だからね。日本人のスタッフは去年やっと日本に帰ることができたけど、到着したらすぐ2週間の隔離が必須なので、のんびりするには5週間くらいは必要だったし。お店のシフト調整はもちろん大変にはなるけど、お互い様なので、みんな理解があるし、休暇を取る人への批判なんてもってのほかである。(まあ、何人か同時に取るとか、相談なしにいきなり取るとか、の問題で揉めはするけど。)

私たちもここ2年は国内旅行のみだった。去年の私たちの休暇は、期間もちょっと控えめに、南ドイツに一週間。そして首都ベルリンに5日間、でした。

 

南ドイツ、バイエルン州には国立公園があり、友達夫婦と4人で田舎の別荘を借りてハイキング三昧、な一週間。特に国立公園内でのハイキングは、人間が下手に手を加えていないため、木の種類もバラバラだったり、倒木が道を遮ってたり、根っこと岩が自由自在に絡み合ってたり、自然の面白さ満載だった。

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仕事からやっと解放されたのに、毎日ハイキングとか勘弁して〜と正直思ってたけど、毎日天気が良すぎるもんだから、別荘でダラダラするのも申し訳ないし、ハイキングに出たら出たで気分が良い。自然の力ってすごいなー。

昼間はハイキング。夜はもちろん美味しいご飯とビール!バイエルン州のヘレスがなんだかんだで一番好きなんで、スーパーで片っ端から色んな種類を買ってきて、みんなでYouTube鑑賞しながら飲むってのが日課だった。(飲むのは私と友人のクリストフだけだったけど。)

 

車で1時間ほど行ったところにはチェコとの国境があり、せっかくなので、ドイツプチ脱出もしてみた。越えれるのならいつでも越えたいのが、国境ってものだ。

12月の4コマは、その時のことをテーマにしました。

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右はドイツに居る人で、左はチェコに居る人

 

ここの国境にはちょうど駅があり、プラットホームにも国境が引かれているが、行き来は自由なので、ドイツからでもチェコからでも電車に乗れる。まあそういう観光地でもあるわけだ。

私たちは駅から続く国境沿いを歩き、チェコ側へとハイキングしたのだが、鉄柵のクズなど、まだここが分断され厳しく管理されていた時代の名残を見ることができた。

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友人のクリストフはその辺の歴史に詳しく、どんな風に管理されていたか、教えてくれた。鉄柵は国境の手前数百メートルの場所にもあり、西ドイツ側に逃げようとする人の多くが、ここが国境であると勘違いをしたそうだ。そうやって油断させ本当の国境を越える前に捕まえる、と言うのが常套手段だったようだ。

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鉄柵があった場所。実際の国境からは数百メートル離れていた。

 

あと鉄柵の上にある蒲鉾型の木材はわざと緩く繋げてあって、それは、そこを掴んで越えようとした人がバランスを崩して電流の通る鉄柵に身体を当ててしまうのを狙っていた、と聞いて、人間の姑息さに辟易した。。。

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国境の駅付近に、実際の鉄柵が再現されていた。

西ドイツの人間がキノコ狩りのために国境をウロウロしてて、チェコ側の国境警備隊に勘違いされて射殺されたという事件もあったらしい。

そんな痛ましい現実が、今からたった30数年前まであったのに、今はこうして自由に行き来できて歴史的な観光地になっている。

そう考えると、一体なんのための分断だったんだろう、なんのために多くの人が犠牲になったんだろう、と切ない気持ちになった。

政治ひとつで人々の生活も命も大きく左右されてしまう。たまたま私は平和な時代に一応民主主義の国に生まれたけど、この先もずっとそうかどうかは分からない。ある日突然、あるいは緩やかに、当たり前だと思ってた権利が奪われてしまうことだってあり得るんだから。そう思うと、政治が自分に関係ないなんて言えないよね。

いつかまた、この国境が閉じられてしまうかもしれない。イギリスがその方向に乗り出したように、EUのコンセプトも揺らぎつつあるから。

 

チェコの町を少し歩いて回ったとき、どことなーく社会主義国だった名残を感じた。なんかちょっと寂しい、質素な感じというか、情報やモノに溢れてない感じ、というのか。あとベトナム系移民が営むお土産屋がやたらと多く、その辺りも歴史的背景を感じて、面白かった。

 

そんなこんなで、南ドイツでの休暇を満喫したんでした。

 

ケルンに帰るとすぐ仕事に忙殺されたし、コロナ感染もどんどん拡大していたけれど。ベルリンでの休暇も、少し期間を短縮して、無事楽しめました。

まあ、南ドイツの田舎とは真逆の世界!ほとんどはのび太姉の家族のところで過ごしたし、観光らしいことはハンブルガー・バーンホフ現代美術館に行ったくらい。

のび太姉家族の住むアパートはすごく素敵だったし、漫画専門の本屋さんでウハウハして、色んな国の料理を楽しんで、義兄に見立ててもらって中古のMac book Proを買った。

ずっと使ってたパソコンが、動作が遅すぎたんで、本当に嬉しい。

今も新しい中古のパソコンで、スイスイ文字を打っております。

あとは私のブログを更新しようという、やる気にかかっている!

 

やっと2021年の4コマ漫画を全てアップロードできました。

2022年はもうちょっとリアルタイムにお届けできるよう、がんばるんじゃないかと思います。