ニコニコ通り

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2022年3月号

海外では、日本食を楽しむ上でお箸を使う、というのは多分ひとつのイベントのようなものだ。

ノビコでもほとんどの人が、楽しそうにお箸で食べている。

それが大事なマナーだという意識もあるのだろう。

だから、たまにこんな事も起きる。

 

私たちにとって、お箸は便利だから使うものであって、料理によっては便利ではないので、簡単にスプーンやフォークに切り替える。

でも食文化的にお箸を使わない西欧人にとっては、お箸を使う=マナースキル、なので私が食事の席にいると特に、頑張って箸を使おうとする。それがもしカレーやチャーハン、ビビンバのようなスプーンが圧倒的便利な料理でも。

そんな彼らを横目に、私はあっさりスプーンを使いますがね。

 

そんな風に、箸を使うことで異国の食文化へのリスペクトを示してくれているんだ、と思うと、ほほえましい限りだけど、うっかり「お箸、上手ですね〜」なんて褒めたりするのは、NGらしいですよ。

マナーなんだから出来ないと恥ずかしい、くらいに思ってるのに、上手ですね〜、なんて言われると馬鹿にされたように思うんだって。まあ逆に、私たちが西欧料理のコースなんかをスプーン、フォーク、ナイフ使ってお行儀よく食べてるのを、必要以上に驚かれたら、ばかにしてんの?って確かになりそう。

 

異国の食文化へのリスペクトで言うと、エチオピア料理を食べに行った時は、やっぱり手で食べることにチャレンジしたい。同居人だったエリトリア人と一緒に行った時、あまりにスピーディーに、かつ美しく手で食べているのを見て、これもまたマナースキルだな、と思った。私とのび太がもたもた食べてるのをみて、コツも教えてくれたけど、意外と難しかったのを覚えてる。

 

つまり世の中には、一番上品で便利な食べ方、なんてものは存在せず、それぞれの料理に相応しい、一番便利で美味しい、かつ楽しい食べ方があるだけなんですね。それは国によって、人によって、状況によって違う事もあるわけで、結局正解なんてない。

あるいは、文化やマナーなんて気にせず、色んな道具を試してみれば、新たな食べ方の発見もあるかもしれない。