ニコニコ通り

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2021年10月号

10月の4コマは、この頃ドイツで主流だったコロナ対策「3G」について。

 

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残念ながら、ドイツの感染者数は11月頃から爆あがり。過去最高の感染者数を連日更新し、一部地域では医療が逼迫し、隣国に移送しないといけないレベルに。

4コマで紹介した対策「3G」では間に合わないってことで、各地でさらに厳しい「2G」(ワクチン接種済みかコロナ罹患済みのみ)に対策が切り替えられ、一部では「2G +」という、ワクチン接種済みコロナ罹患済みでも、48時間以内の抗原テスト陰性証明が必須というルールまで出てきている。ケルンは基本的にどこも「2G」だけど、実際にクリスマスなどで家族と集まる前は、自主的にテストを受ける人も多いし、私たちもそうしている。クリスマスが過ぎれば今度は行動制限がかかることが決まっていて、「2G」のルール下でも10人以上の集まりは禁止(ワクチン未接種者は2人まで)になる。

4コマ漫画では、私の覚え間違えで笑い話にもなったけど、今はワクチン接種した上で迅速抗原テストも受けて、初めて楽しめるという流れが現実になっているという皮肉。。。

それでも100%安心できるわけではないし、たとえワクチンの追加接種が各地で加速していても、オミクロン株が広がるスピードには間に合いそうもない。多くの人が軽症だとしても、2週間の隔離が必須となると、各職種での人手不足も問題化すると見られている。

専門家と政府の間では、ロックダウンに踏み切るかどうかの議論もあって、状況も状況なので反対する気はないけど、やるならもちろん補償もセットですよね?日本みたいに「不要不急の外出を自粛」なんてのはまっぴら御免だよ?なんていう不安も。

隣国オランダ、オーストリアではすでに厳しめのロックダウンが始まり、暴動も起きている。

暴動とまではいかなけど、ドイツ国内でもコロナ対策やワクチン義務化(議論中でまだ決定はしてない)に反対するデモは各地であるし、ワクチン反対派との溝は深まるばかりだ。

反対派にはもう何を言っても無駄、のような気もするけど、現実には反対か賛成かの2色には、はっきりと分けられないと思う。例えば移民たちの中には、ドイツのメディアが発信することをきちんと理解できない人もいる。単純に副反応で仕事を休むことになると困るから接種してないって人もいる。コロナについて、ワクチンについての情報を得る上で、いくら良いメディアがあっても、そこにアクセスできない、しない人にとっては無いのと同じ。そういう人も沢山いるっていう現実が見えていれば、もっと個人個人に接種の案内を送ったり、副反応で仕事を休むための医者からの証明書を取りやすくするなり、出来ることはもっとあったはずなのだ。

例えば、私たちの同居人だったエリトリアからの難民は、私たちと話した上で一緒にワクチン接種をしたけど、彼のパートナーは未だに未接種だ。彼はいつも「彼女はいつも家にいて子供達と過ごすだけだから・・・」とお茶を濁す。いや、子供やアンタからうつったらどうすんだ!といつも話すけど、彼女自身も副反応への怖さがあるからか積極的ではない、と。しかも彼女は今妊娠していて、これでコロナに感染したら、、、と考えるとそのほうが100倍恐ろしいのだけど。

ワクチンに反対しているわけではないので、彼らに足りないのは状況を把握するための情報と、国からの積極的な働きかけ、のように思う。情報を様々な言語で発信しているメディアやサポート団体もあるけど、大体が能動的に動かないと得られないのが現実だし、いくら「2G」のような対策でワクチン未接種者への社会的圧力をかけても、それさえ届かない人もいるのだ。彼らは、分かっていて無視している人達とはわけが違う。

政府はワクチン未接種の人たちにただ文句を言う前に、もっと丁寧に個人個人に届くような方法を取るべきだ。ワクチン接種時に提出する病歴等に関する書類も、個人に書いてねって丸投げするんじゃなく、色んな言語でのサポートが必要だと思う。私の場合、のび太が事前にどう答えるべきか教えてくれたから良かったけど、一人だったらかなりの面倒くささだ。その手続きがよくわからず、なんとなく接種できてないままの人もきっといると思う。

 

私の中でも気持ちの変化がある。夏頃にもコロナワクチン接種の義務化は議論されていて、それはあり得ないでしょ!と思っていたけれど、今の状況を見ていると、義務化するのも仕方ないのではないか、と感じてきている。

義務化すれば反対派からの反発はもっと強まり、暴動が起きるかもしれない。

一方で、明確に反対しているわけではないけどなんとなく接種の機会を逃してきた人たち、というのが未接種者たちの中にいるのなら、義務化は一つの腰をあげるきっかけになり得る。別に厳しく取り締まらなくても、「義務」と言われると動く人も沢山いると想像できるから。

そういう効果が少しでもあり、接種者の割合を増やせるのであれば、義務化も意味があるんじゃないか。私も今はそう考えているし、そう考えるしかないほど危機的状況になってしまい、そのことが残念でもある。「自由」を尊重しつつ、ワクチンでコロナと闘うことに、この国はもう失敗してしまっているんだから。

 

病院にコロナの重症患者として運ばれてくる人の多くが、ワクチン未接種者だと聞く。

ドイツの医療現場での大きな問題は、ベッドの数や機械の数ではない。何より人手が足りないのだ。医療従事者がこの状況に疲れ切って、職を離れるケースが後を絶たないそうだ。

もっと多くの人がコロナワクチンを接種していれば、、、そのチャンスは充分にあったはずなのに、、、そんな思いを抱えながら仕事へのモチベーションを持ち続けるのは、きっと大変なことだと思う。助からなかったケースを見るたびに、悔しさでいたたまれないと思う。そんな精神的にきつい状況に耐えられず、職を離れていく彼らを責めることなどできないよね。

 

じゃあ誰を責めればいい?本当は誰も責めたくないのだけど。

ワクチンなんかより自己免疫力を高める方が大事。そういう考え方も理解はできるし、そういう信条を持つのも結構なことだと思う。多分あなたがコロナに罹っても、高い確率で軽症ですむし、多くの人がまた元気に生活できると思う。だってそういう病気だから。

でもごめんなさい。たとえそうなっても、ワクチン接種しなくても大丈夫だったね。あなたは正しかったね。と言ってあげることはできない。

今はパンデミックなんだから、多くの人が軽症で済むけど、わずか数%の人が重症化するだけで医療が逼迫するくらい影響力のある感染症なんだから、それで苦しんでいる人が世界中にいるんだから、特例だと思って協力してくれればいいのに。

そう、思ってしまいます。ごめんなさい。

 

いつかはこのパンデミックも終わる。さらに多くの犠牲者を出したとしても、いつかは終わる。

でも私は、自分とノビコのために、どこかの誰かの命のために、できる限り早く終わって欲しいと願ってるし、ワクチンが存在していると言うことは、そのチャンスを持ってるってことだと思ってる。だからこの状況がやっぱり悔しいし、嫌な気持ちにもなるんです。

ぐるぐると、考えてたこと、のび太とも普段話していたことが一気に出てしまいました。そして長くなっちまいました。

 

嫌だね。本当に、このパンデミック、早く終わってほしいです。

 

以上!