ニコニコ通り

漫画、木版画、イラストなどなど、製作中。

2023年4月号

今年はストライキの多い一年だったように思う。

さすが労働者の権利は主張して当たり前、なドイツ、日本に比べればストライキ多いな〜ともともと感じていたけど、昨今の物価高騰の影響で、賃上げを求める声が強まったのか、今年はよくそんなニュースを聞いた。

特に耳にしたのはDB(ドイツ鉄道)のストライキ

まあ生活への影響が大きく、把握せずに電車に乗ろうとすると痛い目みるので、電車のストライキ情報は私もちゃんとチェックしていた。

空港もよくストライキで機能しなくなることがあるらしいけど、飛行機乗らないのでよくわからない。日本に飛ぶタイミングでもしストライキが被ったら、、、と思うと正直辛いな。

あとゴミ収集業者のストライキもあった。フランスで、ストライキの為に街中にゴミが溜まっていったというニュースもあったので、ドイツでも同じような事になるのか?と心配したけど、幸い長引くことはなかった。

 

困るっちゃあ困るんだけど、みんなの生活に支障が出てこそ、ストの意味があるよなぁとも思う。

ほら、私たちがいないと社会が回らないでしょ!もっと労働環境改善してよ!という圧力を雇用主にかけるのが目的だし、一般市民にとっても彼らの仕事の大事さを実感し、普段そういうサービスがある事に感謝をする良い機会でもあるわけで。

ストライキ、だいじ。

 

そんな意識が普通にあるんだろうな。ストライキがあっても当然のこととして受け止めて、それで電車に乗れなくてもアンラッキーだった、くらいにしか思ってなさそう。

そういう雰囲気を作るには、やる側のスタンスも大事で、絶対に「ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが〜」的なことを事前通知で言ってはいけない

消費者、あるいは利用者と対等な立場で向き合ってこそ、お互い様で助け合える社会の余裕が生まれるんじゃないかなぁと思うわけです。

そんな4月の4コマ漫画でした。

 

 

同僚が教えてくれたんだけど、ドイツ鉄道労働組合は、現在も月給を更に555€上げて、週の労働時間は35時間に減らし、3000€のインフレ手当を要求していて、その要求を呑まないなら、クリスマスにストライキしてやるぞ!と絶賛交渉中らしい。

強気でいいね。

ところでなぜ555€なのか。もしや電車でGO!GO!GO!ってこと?笑

と推理していたのは、同僚です。

ドイツ鉄道さん、クリスマスプレゼントだと思って、景気よくお願いしますよ!

 

 

 

 

 

2023年3月号

一時帰国をすると、改めて日本の文化や社会のアレコレに気づくことがある。

そしてまたドイツに帰ってきたとき、今度はドイツのアレコレを再認識するってことが誰にでもあると思うんだけど。

今回の一時帰国でとても印象に残っているのは、天気だった。

日本の冬の天気ってこんなにも気持ちいいものだったのか!

東京滞在時のほとんどが晴れだったし、空が高くて、遠くまで見渡せる感じ。

寒さもドイツに比べれば大したことなかったし。

西日本にいた時は、ちょうど寒波が到来しててドカ雪だったけど、それもまた乙なもので、雪景色に心が洗われるようだったわ。

ドイツ、特にケルンは雪は降っても積もることはほぼないし、べちゃべちゃしているだけで嬉しくもなんともない。

ジメジメしていて、基本的に曇り空でどんよりしていて、寒い寒いドイツの冬。

気分がね、落ち込むんですよやっぱり。

 

一時帰国後、デュッセルドルフの空港から電車に乗り換える時に見たどんより空で、ああドイツに帰ってきたと実感し、日本の素晴らしい冬の青空が速攻で恋しくなりました。

4コマの後半部分、インターネットの繋がりが悪すぎる問題と、電車の遅延問題も安定のドイツあるある。

電車が田舎をひた走っている時は、紙の本を読むか、ぼんやり外を眺める絶好のチャンスだし、遅延なく目的地に着いたら自分は幸運だと思う。

そう思えば、これらは意外と憎めない一面なのだけど、

冬のドイツの天気だけは、これからも愛せる自信がない。

ここ数週間も雨か曇りかで、もうすでにうんざりし始めている。

まだ11月も半ば。冬はこれからだというのに。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年2月号

だいぶん間が空いてしまいました。。。

今、もう11月ですよ?

何をやっていたんだ私は。

これから徐々に一年を振り返ろうと思います。

というわけで、2月の4コマ漫画がこちらでした。

一周まわって、再びシュトレンの季節が近づいてきましたね!

もう二度と、シュトレンを日本へのお土産に持っていくことはないでしょう!

 

 

 

 

 

2023年1月号

やっと、やっと!ニコニコ通り2023年度編が始まります!!!注)現在2023年6月です。

遅れるのが当たり前になりすぎて、もうブログを辞めた方がいいんじゃないか、と何度思った事か。

でも、こうやって自分の経験とか少しでも言葉にまとめて残しておくのって、記憶を留める意味でも大事だし、後から自分で読むのが楽しかったりするんです。

なので、私ペースで2023年もどうぞよろしゅう!

 

1月号の4コマ漫画を描いたとき、一時帰国のため、私はすでに日本におりました。

高円寺マヌケゲストハウスのキッチンで、連日の飲み会のためぼんやりしている頭を抱えながら描いた、私的一時帰国あるあるです。

 

 

もう些細なことが新鮮で。

普段ドイツにいる時は、バスとか電車内で聞こえてくる言葉を理解しきれないので、完全にスルーして別のこと考えたりできるんだけど、日本に来た途端、ボソボソと聞こえてくる会話でさえも勝手に理解できてしまうので、周囲がやたら気になって逆に落ち着かない。そういう現象のことを描いております。

そしてドイツでは、私たちが日本語で話せば周囲は理解できないので、リラックスして深い話ができたりしていたのが、日本では、その日本語での会話が周囲に理解されてしまう!という恥ずかしさ。

でも聞かれたくないことを話す時は、ドイツ語にスイッチしたりして、ドイツでやってることと反対の事を日本でもやっていて、楽しかった。

 

それはそうと、久々の日本での日々はどうだったのか!

書き出すとおそらく半端なく長くなるし、その気力はもはや残っていないので書きませんが、滞在中お会いできた方々には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです!

最初の1週間、毎日色んな人と会っては話し、食べ、飲んで、5年間の私の生活に足りなかったものを凄い勢いで摂取している感じで、興奮してあまり寝れませんでした。

東京から離れ、西日本へ向かう寝台列車の中で、ようやく熟睡できました。

それくらい、私にとっては濃い日々だったし、その中で色んなテーマで色んな話ができたこと、しっかりと自分の中で残っています。

コロナへの捉え方とか、わかりやすく違いを感じたこともあるけど、何故同じテーマに対し違う捉え方をするのか、を考えると社会環境や政治、文化の違いが見えてくるようで、本当に面白かった。

その一方で、同じことに悩み、同じ理想を持っていることが確かめられたりもして、嬉しくなる瞬間もたくさんあって。

私たちの今の生活を話すことで再確認できることもあって、たくさん励まされたし、少し自信にも繋がったと思います。

その度に、のび太と改めて話してて一番よかったのは、今の私たちは昔みたいにバンドやったりイベントやったり仲間とつるんで政治的なアクションを起こしたり、ってことは殆ど出来ていなくて、仕事が中心の生活をしているけど、今やってることが、自分史上一番政治的で意味を感じる。と思えたこと。

もちろん仲間と何かアクションを起こすことは、めちゃくちゃ大事だし、楽しいし、正直新宿IRAで素晴らしい木版画を生み出しているA3BCの活動は、本当に羨ましくて、参加できたらどんなに素敵だろうか、と何度も思ったけど。

高円寺での再開発反対パレードや、中国の文化難民の話、色んな国の人々、特にアジア各国の人々が交流している中に、自分も浸っていたい、もっと交流したい、と何度も思ったけど。

そこと比べて、自分の今の生活はつまらないなとか全く思わないし、あの頃の自分に戻りたいとも思わなかった。ああ、自分は今の生活に満足できているんだな、と感じれたのは大きかったです。もちろん改善したい点はたくさんあるんだけど。

だから、今回の一時帰国で私と会ってお話してくれた方々、本当にありがとうございました!

 

また帰ってくるからね。

また会ってくれるよね。

 

ドイツに会いに来てくれてもいいんだよ?

待ってます!

待っててね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年12月号

季節外れの、クリスマスの話題はいかがでしょうか?

去年の12月の4コマ漫画です。

 

ドイツに移住してもうすぐ7年なんですよ。やば。

そんなに経つんですねぇ。

ということは、のび太の甥姪の成長をもう7年も見守ってきているわけで。

彼らのために、アドベントカレンダーを包む作業を手伝ったこともあったっけ。

私とのび太からもささやかなクリスマスプレゼントを用意するんだけど、親からもらうプレゼントがやっぱり一番豪華で、私たちのプレゼントなんて、10秒で興味失われたりね。

私たちものび太の兄弟家族や、義母とプレゼントを贈り合い、クリスマスの後は必ず袋いっぱいのプレゼントを持って帰宅。

そんなザ・クリスマスがすっかり板についていた私ですが、去年は日本帰国ということで、Noプレゼント、Noツリー、Yes温泉!なクリスマスとなりました。

いやー久々に楽なクリスマスを過ごさせていただいて!(本音)

つか温泉が、シンプルに私にとっては最高のプレゼント。

 

ま、そんなん言うてますが。

のび太実家で毎年飾られるツリーは、電気も使わない、蝋燭が灯すほんまもんのツリーなんで、これを観れるのは何気にクリスマスの一番の楽しみだったりもする。

 

さて、今年は一体何を贈れば良いものやら。。。。

 

 

 

 

2022年11月号

もうサクサクと上げてしまおう!

去年の11月の4コマ漫画です。。。

 

 

この入浴法ができるのは、こっちのバスタブが基本身体を伸ばせるほど長いからで、日本の足を折り曲げないと入れないようなバスタブだと無理ですね。

逆に縦に長いドラム缶などのお風呂で、最小限のお湯で温まる立ち湯もいいですね。

 

因みにドイツでの光熱費の払い方は少し独特で、月々の定額料金を払った上で、一年間でどれくらい使ったかをチェックされた後、超過料金を追加で支払うという仕組み。もちろん定額料金以下しか使用していない場合は、返金が発生する。

アパートによって支払い方法は違うらしいけど、私たちの場合、超過料金の請求書にはアパートの一年分の管理費も入ってくるので、間違いなく追加で支払わないといけなくなる。ただ去年の節約の甲斐もあり、ガス代(暖房代)自体は定額以下の使用料に抑えることに成功!しかしアパートの管理費等がやたら値上がりしており、結果一年前よりも多く追加で支払う羽目となった。このエネルギー危機以降、家賃も100ユーロ上がっているし、努力ではどうにも出来ないところで持っていかれるので、節約へのモチベーションがいまいち上がらない。

月々使用した分だけ払う方が、節約の結果が都度見れて、いいんだけどな。

ちなみに今年、頑張って寒い部屋で過ごした結果、部屋の壁にカビ生えたので要注意!

ドイツの冬は、寒い上にジメジメなのだ。

 

 

 

2022年10月号

ノビコがスタートした当初から、何度も何度も頭を悩ませ、苦渋の決断をせざるを得ないことがある。

 

そう、値上げである。

 

ノビコ、初期の値上げは、正直私たちの考え方の甘さが露見した結果だった。様々な失敗も相まって、経営が立ち行かなくなり、適正価格を考えたら値上げせざるを得なかったのだ。

そもそも私たち自身が安くて美味いお店に憧れていたために、もしお客だったらこれくらいで食べたいな〜、という基準で決めていたのがよくなかった。麺もスープも手作りで、当初の安さをキープするにはそれだけ自分たちの身を削って働かないと無理だと気づいたし、人件費がどれほどかかるのか、という現実を知ったというのも大きい。

ドイツにおける人件費は、日本よりもはるかに大きいと思う。日本との大きな違いは、ドイツでは病気で仕事を休んだ場合も給料は保証されること。そして有給休暇をみんなしっかり取ること。この二つの違いはカルチャーショックでもあったほどで、私も日本にいた時は時間給で働くアルバイトが、働いた分しか給料貰えないのは当たり前、と思っていたし、そして有給休暇というのは、病気や忌引きなどどうしようもない時に使う手段だと思っていた。たまにマジの休暇のために取ったとしても、連休と繋げて1週間が関の山。

病気になっても給料に影響しないこと、そして休暇をちゃんと取れること、がどれほど心の余裕につながるかを実感し、労働者の大事な権利だと理解したし、自分たちがレストランでご飯を食べる時も、安さ重視な考え方は、労働環境の改善を妨げるものだと考えを改めた。まあそれは私個人の話だけど、ノビコとしてもその人件費がどれほどのものなのかを学び、シビアに向き合わないといけなくなった。

だからこそ値上げの際は、お客さんにも理由をきっちり説明したし、社会全体で考えてほしい、協力してほしい、という願いも込めていた。

そこから数年間、コロナで店の経営もわちゃわちゃになり、なんとか生き延びたと思ったら、今度はロシアのウクライナ侵攻。それによるエネルギー危機。その都度私たちは、必要に応じて値上げという選択をしてきた。お店が存続するためには仕方がない。

そして、物価が上がったんだから、最低賃金も上げないと生活できないよね、という真っ当な流れで、2022年の10月から、最低時給は12ユーロに引き上げられた。実際には段階的に上がったのだが、一年前に比べれば、2ユーロも上がっている。

ノビコのスタッフには、恥ずかしながらこれまでもほぼ最低賃金しか払えていなかった。(ほぼ、と書いたのはドイツにはチップを払う文化がある為、その分はスタッフ全員と分け、現金で渡しているため)

飲食店ではどこもそんなものだが、最低賃金が上がれば、当然人件費はもっとかかる。仕入れの値段も上がっているので、やっぱり今回も値上げはやむを得ない。

とまあ、そんなこんなで4コマ漫画にも描いたのが、去年の10月のお話。

ノビコが始まって以来、私の頭の中では何度も何度も高田渡さんの「値上げ」が鳴り響いているのだ。

 

そして来年から、さらに2ユーロ最低時給を上げる案が政府から出ている。

インフレ中のドイツでは当然といえば当然なのだが、それを聞いて、手放しで喜べないのが経営者の悲しいところ。3人で顔を見合わせ、ため息をつく。

因みに、私たち3人の給料は、時給に換算すればいまだに12ユーロ以下なのだ。生活できればそれで良い、ノビコの事は半分趣味、くらいには思っているが、インフレの状況次第では私たちの給料も上げないと、流石に厳しい。

 

値上げをするときいつも思うのは、お金持ちばかりを相手にするお店にはなりたくない、ということ。だから恐る恐る周りのお店の値段も見つつ、社会の価値観が変わっていくのと合わせながら、安くはないけどべらぼうに高くはないラインをいつも探っている。

とはいえ、貧富の差は確かに存在し、インフレで生活がもっと苦しくなったと感じれば、外食は結局贅沢なものだと切り捨てられるのではないか。そう思うと怖いしやっぱり少し残念だ。

それでも。週に一度来てくれていたのが、月に一度になったとしても、ノビコにお客さんが楽しみの一つとして来てくれるためには、魅力あるお店であり続ける必要がある。

値上げするだけでは足りない。

というか、値上げするだけではつまらない。

その分もっと、自分たちが楽しみながら店を作っていって、それをバンバン見せていこうと思っています!